アメリカで出会った犬たち
1992年から1年間、私たちはアメリカに滞在する事になる。
学生VISAでアメリカに渡る事を決意した私たちは、その滞在地をサンフランシスコにしていた。日本で仲良しになっていたDAMONとLINDAのカップルがいろいろ教えてくれた。私たちは、アパートが決まるまで、ホテル住まいをしようとしていたが、DAMONの親友であるCLAYから、DAMONが日本で私たちの世話になったという事を聞きつけて、自分の家に来るように、と言ってくれた。
サンノゼ空港に到着すると、CLAYが迎えに来てくれた。私たちはDAMONからCLAYの事をいろいろ聞いていた。1人暮らしだが、犬を飼っているらしい。車の中で私たちは、その犬の事を尋ねてみた。雌犬でBRIGITTEという名前らしい。CLAYは私たちがその日日本から来る事をBRIGITTEにも話した、そしてそれを聞いたBRIGITTEもわくわくしているよ、と言った。何ともアメリカ人らしい表現なのだが、本当にBRIGITTEにそんな話をするのかなあ、とさえ感じた。しかし、家族同様いろいろな事を話し掛ける、この辺の犬とのコミュニケーションが大事だという事に、最近痛感するのである。
CLAYの家は、サンフランシスコからベイブリッジを渡ったアラメダという所にある。閑静な住宅街で、家の並びと自然とが調和された町のつくりだ。私たちが、よくイメージする良きアメリカ、そんな所だ。家に到着し、ドアを開けると噂のBRIGITTEが出迎えてくれた。そしてアパートが決まるまでの約1ヶ月間をそこで過ごす事になる。
当然と言えば、当然の事だが、BRIGITTEは家の中で飼われていた。しかし、BRIGITTEが何か悪さをする様子もなく、CLAYの家はきれいに片付いていた。BRIGITTEはいつでも穏やかだった。私たちや、CLAYが呼んだ時は、犬らしくしっぽを振り、「遊んでください。」と言わんばかりにやってくる。CLAYが朝起きて、コーヒーの準備をしている時も、新聞を読んでいる時も、ご飯を食べている時もBRIGITTEは静かにしていた。庭にはBRITGITTEの小屋があるが、一声、CLAYが「House!」を命じると、小屋に入っていく。また家の中のどこにいようが、「Come!」と言うと、うれしそうにご主人様の所へ来る。私たちは、びっくりするとともに、このCLAYとBRIGEITTEの関係に驚いた。私が「どんなしつけ方をするのか?」と尋ねると、市が主催する訓練学校に通ったらしい。BRIGITTEだけではなく、CLAYも一緒に学校に行ったらしい。飼い主も一緒に勉強するのが、
アメリカの訓練の常識だそうだ。
なるほど、その後、新聞など気をつけて見ていると、市が主催する訓練学校のお知らせの記事を数多く発見した。しかも値段の方もリーズナブルであった。
ブリジット
CLAYは旅行好きな人だった。旅行の仕方も日本人と違って、過密スケジュールの旅などしない。ハワイのマウイ島へ出かけ、のんびりしたり、バハマへクルーズに出かけたりしていた。その間BRIGITTEはどうするのかと、尋ねると、友達が迎えに来て、BRIGITTEを預かっていく。この実態にも私たちはびっくりした。日本人の場合、いくら仲が良い友達であっても、そこに小さい子供がいたりとか、きちんとそこの環境に馴染んで留守番できるのか、とか、いろんな事に気兼ねして、なかなか預かってもらう事などできない。2.3日ならともかく、1週間を超えると、もう駄目だ。私の場合、自分の親に預ける事を考えるが、逆に今度は相手の犬に対する知識を推し量ってしまい、きちんとケアができないかもしれない、と今の所、訓練所に委託している。
何がどうアメリカと違うのかと言うと、国民性の違い、と言ってしまえばそれまでだが、私は犬に対するアメリカ人の共通の常識みたいなものがあるように感じている。無論、その時はわからなかったのだが、JOSHAの訓練を通じてその意味を知る事になった。
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| グランドキャニオンで 南西部の州から犬と一緒に車で旅をする女の子 |
グレイシャー国立公園(モンタナ州)で この時はわからなかったが、Stay!と言われていたのだろう |
その後、私たちは車で幾度もアメリカを旅する機会があったのだが、そこでも驚かされる。フリーウェイで、助手席に犬を乗せている人、国立公園で家族と犬とキャンプをしている人、いろんな所で、アメリカ人は犬と楽しんでいる。「犬がいるからどこにも行けない。」というのは日本の常識だが、留守番させるのだったら、一緒に連れて遊ぼう!というのが、アメリカ人的発想である。しかし、そこには日本と違い、犬にとって旅がしやすい環境が整っている。キャンプ場、ペットOKのサイトと、そうではないサイトが分けられている。モーテル、禁煙の部屋・喫煙できる部屋と分かれているのと同様、ペットOKの部屋が用意されている。
日本でも最近、犬が行ける場所が増えつつあるが、条件が出たり、まだまだ伸び悩むのは、先ほどの犬に対するアメリカ人の共通の常識、みたいなものが日本の社会に浸透していないからだ。