自信喪失
ある日の事、里さんから1つの提案をされた。
「せっかく、ここまで訓練をしてきたのだから、その節目として、訓練試験を受けてみては?」
しかも、私自身が受けるというのである。
「ジョシュ君だったら、CD1(初等科)受けなくても、CD2(中等科)に受かります。」
とまで言われた。
ここまで言われたら、試験とはどんなものかわからなかったが、いい気分になってしまうものだ。私は、受験する事にした。
しかし、この後で私はすっかり自信を失ってしまう事となる。
CD2には、規定課目以外に自由科目がある。JOSHAはその時点で、ハードル飛びができていた。里さんは、このジャンプを応用させて、自由科目の選択にしようと言ってきた。つまり、ハードルの片道飛びで、1科目。往復飛びで1科目。応用した棒飛びでまた1科目、と科目を増やす事ができる。しかし、私はその自由科目の中から、ダンベルの持来をやってみたいと思った。里さんに言うと、「持来はかなり難しいよ。ジョシュ君なら必ずできると思うけど、やる!と覚悟を決めてもらわないと。中途半端は駄目ですよ。」
私はダンベルの持来をやることにした。
2ヶ月間、かかった。本当に苦しい毎日だった。
「ビーグルで持来ができるなんて。ましてや飼い主がそれを教えたのだから。次はいよいよCD2だね。」
里さんの言葉だ。
しかし、私は素直に喜べなかった。確かにダンベルの持来はできるようになっていたのだが、その頃、1つの大きな壁に私自身、ぶちあたっていたのだ。
JOSHAには訓練にムラがある、という事だった。
例えば、ダンベルの持来。ダンベルを遠くに投げ、JOSHAに合図をし、取りに行かせる。JOSHAはダンベルをくわえたままで、私の左側につく。訓練に集中している時は、ダンベルをさっと取りに行き、私の所へ戻ってくる。
しかし、ダンベルをくわえても、寄り道をしたり、モタモタと歩いてくる。
基本的な脚側行進でも同じことがおこる。私の顔を見て、私の歩調に合わせるのがベストだが、集中していないと、よそ見をしたり、リードがないと、ついてくるものの、モタモタ歩く。
私はどんな風に持っていけば、JOSHAが集中して、科目にのぞんでくれるのか、悩んだ。良くできている時は、JOSHAと一致団結しているのを感じる。しかし、毎回確実に、行う事ができなかった。ビーグルという犬種からもこの事はきている。
それまでは、1つ星のビーグルにここまで訓練を入れた事を誇りに思ったのだが、その時ばかりは、ビーグルの性格をうらめしく思ってしまった。また、古野さんのけいちゃん(ブラックラブ)は、里さんからの訓練を受け、あっという間にCD2に合格した。5つ星のラブラドールと比べてしまっては、いけない、と自分自身、言い聞かせるのだが、それが段々とあせりに変っていった。
「できるのにどうしてやれないの?」
という気持ちだった。しかし、このあせりはJOSHAに伝わっていた。きちんとやろうとすればするほど、私たちの間には、ぎこちなさが残った。
私はすっかり、自信を失っていた。そしてもはや自分自身では、試験に望めないと、判断。里さんに試験を受けてもらおうと、考えた。「と゜うしたんですか?すっかり、自信なくして。今までもたくさん壁はあったけど、乗り越えてきたじゃないですか。せっかく頑張ってきたのに。」
里さんからは試験を受けてもらう事を断られた。せめて、CD1だけでも自分で受けるように説得された。しかし、私は里さんが受けてくれないなら、無理だ、と断念した。ここから空白の半年が過ぎる。
私は、小さい時から犬を飼っていた。(ひろりんママの犬たち)
みんなそれぞれに思い出がある。そして、それぞれにつらい別れがあった。今でもJOSHAとの別れの事を覚悟しなければらならい。
私は、昔の犬の事を思い出しながら、「JOSHAと何か残そう。」と思い直した。
結局、昔の犬達に勇気づけられ、試験にのぞむ事になる。
「訓練にムラがあるのもビーグルらしい性格。」と開き直ることで、私は肩の力を抜く事ができた。そして、他の犬種との訓練性を比較することもやめた。
「訓練は楽しくやろう!」 との原点に戻り、練習を重ねていった。