骨付カルビ



私はレストランでのアルバイトを辞め、おばの焼肉屋で働く事になった。既に中洲、警固、と2店あるのだが、新しく赤坂に出店する事が決まっていたからである。とりあえず警固店で研修をする事になっていた。

サービス業での経験は長い。それはミスタードーナツから始まるのだが…。接客そのものの基本はどこに行っても同じである。
焼肉店でも1週間もすれば、物の流れもつかみ、きちんと動けるようになっていた。

ある日、私はいい事を思い付いた。骨付カルビの骨をJOSHAに持って帰ろう、と。お客さんが食べた後の骨を袋に入れ、持って帰り、一度お湯につけて味付けをとり、JOSHAにあげた。JOSHAは喜ぶ、喜ぶ。
お客さんのテーブルに入る時は、さりげなく、違和感がないようにする、というのが私のモットーだ。
その日もさりげなく、テーブルに入ったのだが…。そこにはお客さんが食べ終わった後の骨付カルビがあった。しかもそれは、大きくて何とも食べ応えのありそうな骨だった。私は「JOSHAが喜ぶだろうな。」とその骨が入ったお皿をさげようとした。
その時だ。「ちょっと待って。この骨は家のわんころにあげるから。」 と言われた。内心、しまった!という感じだった。すごく恥ずかしかった。
しかし、気持ちとは裏腹に「ビニールをお持ちしますね。」と笑顔で言った。


骨付カルビの骨を犬に持って帰る人は結構多い、という事が最近わかった。JOSHAにはもう持って帰らない事にしている。
JOSHAはお腹をこわしやすいからだ。しかし、骨ならいいけと゜、たまに残った肉を「犬に持って帰るから、ビニールください。」
と言われる事がある。すかさず、「味付けしているのは犬の体には良くないですよ。」と言いたいところだが、我慢している。
しかも、黒毛和牛なのに。もったいない!

そしてまた別の日。こんな事件が起こった。ある夫婦の注文をとっていたら、「骨付きカルビ1人前。それもね、骨が大きい所がいい。」と言われた。私はどういうことなのかすぐに察したが、そのお客はすぐに説明をし始めた。「犬にあげるのだけど、骨が大きくないと飲み込みそうでこわいから。」私はすぐに厨房へ伝えた。「○○テーブルの骨付きカルビは骨が一番ゴッツイのをお願いします。」アルバイトが笑った。そして、そのテーブルに入り、犬の事を話題にしようかと思っていたが、土曜日でとても忙しく、話す時間はなかった。精算の時、声をかけたのだか、何だか不服そうだった。結局、骨は十分に大きくなかったみたいで持って帰らなかったみたいた゜。その後だ。駐車場で社長(私の叔父)に、骨が大きい骨付きカルビを注文したのにこなかった、と言ったらしい。状況を知らない社長は単にアルバイトが骨を包んであげなかったのだろう、と勘違いし、アルバイトを怒りま くっていた。「それは、違うよ。」と私が事情を説明する。やれやれ、という感じだ。

注:骨付カルビは骨の部分がおいしいのです。よく骨の部分は食べない人がいます。

思春期